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会社を経営しているのですが、最近会社の資金繰りが悪く、この状態が続くと会社を倒産させることも視野に入れなければいけないと思っています。銀行からの借入や取引先への買掛金もあり、会社が倒産することで私の家族や子供にどのような影響が及ぶのかと考えると、とても不安です。 もし、会社を倒産させたり畳んだりした場合、私の家族や親戚も借金を抱えてしまうことになるのでしょうか?また、最悪の場合、一家離散や住む家を失うようなことになってしまうのでしょうか?会社を倒産させた後にどのように生活をしていけばよいのかも心配です。会社が倒産するかもしれない状況で、経営者である私は家族を守るために、いま何ができるのでしょうか。
大前提として、そもそも基本的に会社の債務が家族へ引継がれることはありませんので安心しましょう(連帯保証人になっている場合を除く)。ただし、誤った対応をすると自宅や車などの家族の財産を失ってしまい、その後の生活の立て直しが大変になるのも事実です。 この記事では、経営者として家族や子供の財産を守るためにできることを説明しますので、ぜひ読んでみて下さい。
会社の倒産で経営者も自己破産・・・家族や子供を守るための3つの重要なポイント
あなたの会社が不運にも倒産・破産のリスクがある場合、一番心配になるのはあなたの家族や子供への影響でしょう。会社を倒産・破産させるときに、家族への影響を最小限にとどめるためには、経営者が法的な責任を誰が負うのか正確に理解し、適切な行動を取ることが重要です。 現状会社の資金繰りが悪く、会社の倒産・破産のリスクがある場合、まずは以下の3つの重要なポイントを押さえて今直ぐ行動を開始することを強くお勧めします。
1. 倒産・破産に精通した弁護士に相談し、倒産・自己破産後の家族・妻・子供への影響を最小限に留める準備を始める
この記事では、会社が倒産・破産する場合に経営者が家族を守るためにできる対応や、実際の家族や子供への影響について解説していきます。しかし、家族への影響を正確に把握することや、家族に取り立てや督促が来た場合の対応など法的な知識の無い経営者が個人で対応することは非常に難しいのも事実です。
また、誤った対応をすることで守れたはずの家族の財産を失ってしまったり、自身の債務を免責ができなかったりと、法律や倒産の知識が乏しい経営者一人だけでは被害を大きくしてしまうこともあります。
だからこそ、家族を守るためにも、速やかに倒産・破産に強い弁護士へ相談することをお勧めします。 専門的知識を持った弁護士に依頼することで、法的に自身や家族の財産への影響を極力食い止めることができるかもしれません。
倒産が目の前に迫っていなくても、「もしかしたら倒産するかも・・・」という早い段階から弁護士に相談することで、倒産自体を回避することが出来たり、仮に倒産に至った場合でも倒産後の生活が大きく変わる可能性があります。 万が一倒産してもご家族の生活を守れるよう、弁護士と共に計画をしましょう。
また、弁護士に依頼するお金が無いとお悩みの方でも弁護士への依頼は可能です。諦める前にぜひ読んでみてください。
2. 資金繰りが悪化しても家族名義の財産や個人資産を会社の事業運転資金に充ててはいけない!
弁護士に相談する前から気を付けておきたいのは、資金繰りに困ったからといって家族名義の財産を事業の運転資金として使ってしまうことです。
確かに、従業員や取引先との信頼関係を守ることを第一に考えると、やってしまいがちなことではあります。実際に、家族名義の財産を会社のために使ってしまうケースは多いです。
しかし、家族や子供の生活を考えるのであれば、これは経営者が最もやるべきでは無い対応だと覚えておきましょう。
通常、借金や買掛金などの会社の債務は会社が負うものです。経営者は借金の連帯保証人になっているケースが多いので経営者個人も会社の債務を負うケースがありますが、ご家族は会社とは関係がないので、基本的にはご家族が会社や経営者個人の返済を肩代わりする必要はありません。つまり、会社が倒産しても、ご家族はその債務を返済する義務はないのです。経
だからこそ、会社の経営が悪化した際に、奥さん名義の車を売ったり、子供名義の保険を解約して作ったお金を会社の運転資金に充てるのはNGなのです。不必要に家族の財産を失う事と同じことなので、家族名義の財産や財産を会社の運転資金につぎ込むことはやめましょう。
財産の所有者は「名義主義」という考え方で決まります。詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。 財産の所有者は名義主義で決まる。名義主義とは?
3. 会社の倒産で経営者が自己破産する前に、家族・妻・子供への財産贈与はやってはいけない!
もし経営者自身が会社の債務の連帯保証人になっていた場合、「家族名義の財産なら会社の負債の影響を受けない」ということなら、倒産が避けられなくなった段階で経営者自身の財産・財産を家族名義に変更することを考える方もいるかもしれません。
しかし、これもやってはいけません。
もし家族への財産の名義変更が「財産隠し」や「返済逃れ」として判断されると、倒産・破産による借金の帳消し(「免責」といいます)が出来なくなってしまう可能性があるからです。
会社が倒産する場合、会社や連帯保証人である経営者個人の財産は、会社の債務返済に充てられるのが原則で、それ以外の使用には明確な根拠が必要です。経営者個人や家族がお金を使用する場合、生活費などの必要最低限の支出は認められますが、必要以上の支出やあからさまな家族への贈与をしてしまうと「債務を誠実に返す気がない」と捉えれ、認められないことがあるのです。
実際の倒産や破産手続きでは、破産管財人と呼ばれる破産手続きを行う弁護士によって過去数年分の通帳のお金の流れを確認されてしまいます。そのため、倒産直前の財産贈与は容易にバレてしまい、破産による借金の帳消しが認められなくなるリスクを高める事になります。
また経営者の財産の名義変更や贈与を受けた家族も、最終的に受け取った分の返還を求められ、返還できない場合は経営者の破産手続き自体ができなくなる場合もあるため、メリットは低いと言えるでしょう。
破産や倒産の最大のメリットは「借金が法的に帳消しになる」ことです。このメリットを捨てるような行為は、避けないといけません。そうでないと、一生借金を背負うことになり、人生をやり直すことすら難しくなってしまいます。
経営者が適法に経営者自身や家族の財産を最大限残す方法については、まずは破産・倒産を得意とする弁護士に相談してみると良いでしょう。
以下は、もっと詳細に知りたい人のための内容となります。 詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。
家族の自宅や車、貯金は差し押さえを受けるのか?会社の倒産で経営者も自己破産すると家族に与える影響・デメリットは?
会社が倒産・破産すると、会社の財産や経営者の財産だけでなく、家族の財産までもが借金返済のために差し押さえや清算の対象に含まれると思っている経営者の方は多いのではないでしょうか。 ここでは実際に会社を倒産・破産させる場合、家族にどのような影響があり、経営者は家族の財産を守る事ができるのか解説していきます。
まずは自宅や車の名義を確認|経営者・家族の財産の所在は名義主義で決まる
家族の財産を守れるかどうかは、財産の名義が誰なのかという事に大きく依存します。日本の法律では、財産の所有者は「名義」で決まっており(「名義主義」といいます)、会社名義の財産は会社のもの、経営者名義の財産は経営者のもの、家族名義の財産は家族のものと、名義が誰かによって財産の所有者が確定します。
また財産と同様に、借金などの債務を負う人も名義によって明確になります。そのため会社の債務は会社が負うものであって、経営者個人や家族が代わりに債務を負う必要はありません。会社の債務を個人が負うのは、保証人になっている場合などです。
よって、倒産後の家族や子供の生活を守るためには、住宅や車など家族で使用しているものが会社名義の財産かどうかをまず始めに確認する必要があります。
家族で利用している車や住宅が会社名義の財産となっている場合、それらの財産は会社の倒産によって債務返済のために売却されていまう可能性があります。なので、直ぐにでも会社名義の住宅や車を守る方法を考えた方が良いでしょう。
逆に家族名義の財産を、会社の債務の返済に充てる必要はありません。まずは財産の名義を確認し、不必要に財産を手放す事が無いようにしましょう。
自己破産するが家族で使用している自宅や車が会社名義の場合にできる対応は?
家族で住んでいる住宅や使用している車が会社名義の場合や、連帯保証人になっている経営者名義の場合、会社の倒産と合わせて強制的に売却される対象になる可能性が高いです。
しかし、その住宅や車を家族で利用していて、倒産後もどうしても引き続き利用をしたい場合に、それを実現する方法が2つあります。
経営者の家族に一定の収入や財産がある場合、会社から家族に売却をしてしまう(贈与はNGです)。購入するご家族はローンを組んでもOK 専門の業者に売却し、その会社に家賃を支払って住み続ける(リースバック)
ただし、1つ目の方法で住宅や車を家族に売却する際は、適切な査定額で取引を行わないといけません。不当に安く売ることはできないのです。。そこで、どうやって「適切な額」を安価に設定するかが重要になります。こういったポイントも、弁護士と相談すれば良い知恵が出てくることでしょう。
会社の倒産で経営者が自己破産すると家族の離婚は避けられないのか
これも経営者の不安として多く寄せられる質問です。
結論から言うと、会社が倒産したからといって、経営者とその家族が離婚したり離散したりする必要は全くありません。会社の資金繰りが悪化し、倒産・破産を考えている経営者の方の中には、その後の家族生活や、夫婦の存続にまで不安を抱えている方もいるかもしれませんが、ご夫婦の意志に反して離婚しなければならないのでは、という誤った不安は持たないようにしましょう。
しかし、会社が倒産すれば当然、経営者の収入が無くなるだけではなく、最悪の場合は会社名義の住宅や車が差し押さえられ、生活が困窮し結果として離婚に繋がるケースがある事も事実です。
また、経営者が倒産に踏み切れず弁護士にも相談していない場合、貸し手が家にまで押しかけて来たりするケースもあります。それがご家族にとって大きなストレスとなり、離婚に繋がってしまうこともあります。
そうならないためにも、まずは経営者ができる家族・子供を守るための3つの重要なポイントを理解した上で、弁護士と相談の上家族を守る方法を理解しておきましょう。
また、生活が困窮しないよう、生活を早く立て直すためにも経営者の転職や再就職についても事前に準備を始めて置く事をお勧めします。
自己破産すると子供の学資保険はどうなる?解約し借金の返済に充てなければいけないのか
結論から言いましょう。会社が倒産・破産するからといって、子供のために積み立てていた学資保険を会社の債務返済に当てる必要はありません。
しかし、子供の学資保険を積み立てている経営者やご家族が連帯保証人の場合は別です。
仮に子供の学資保険を経営者の名義で積み立てており、その経営者が会社の連帯保証人になっている場合、もし経営者が債務を一括で返済できなければ、自身の借金を帳消しにする(債務整理)手続きとして自己破産をし、その際に学資保険は返済資金として解約されることになってしまいます。 通常、保険の解約金が20万円以上の場合、返済資金として解約させられてしまうことが一般的です。
もし、子供の学資保険をどうしても継続して残したい場合は、自己破産する際に残せる99万円の現金の中から20万円分の保険をご自身や連帯保証人ではないご家族によって買い取り、解約する場合と同等の額を返済資金として納めることで、保険は継続しておくことが可能です。
自己破産すると家族もブラックリスト(事故情報)に登録される?家族のローンやクレジットカード、信用情報への影響
会社が倒産すると、経営者が連帯保証人になっていた場合、多くのケースで経営者も自己破産をすることになります。それによって、経営者個人が負うことになる借金も全て帳消しにできるのです。 しかし、自己破産をすると、ブラックリストに載ってしまいクレジットカードの利用制限やローンを組めないなど、自己破産をすることで私生活に一定の影響を及ぼすことがあります。
では、経営者のご家族もブラックリストに載ってしまい、不自由な生活を送ることになるのでしょうか?
そんなことはありません。基本的に会社や経営者個人が破産した場合でも、家族がブラックリストに掲載されることはありません。 (ブラックリストとは、正式には個人の信用情報が事故情報として記録されることです。一度登録されてしまうと、数年間クレジットカードを利用できなかったり、ローンを組めないなど日常生活に一定の支障をきたすことになります。)
しかし、奥様などご家族が経営者同様に会社の債務の連帯保証人になっている場合は注意が必要です。この場合は、ご家族も債務者となってしまうため、最悪の場合ご家族も自己破産に追い込まれ、ブラックリスト入りや、クレジットカードの利用を制限されてしまいます。
もしご家族が連帯保証人になっているなら、その状態を解消する努力をしてみましょう。家族が連帯保証人の場合のやるべき対応を確認した上で、早急に弁護士に相談し、家族への影響を抑える対策を考える事をお勧めします。
家族が連帯保証人の場合の対応は?弁護士への相談で連帯保証契約の解除が可能な場合も
ここまで会社の倒産・破産時には家族・子供名義の財産には影響が無いと解説してきましたが、家族が連帯保証人になっている場合は注意が必要です。
ここでは家族が連帯保証人の場合に家族が負う事になる債務や、連帯保証契約を解除するためにできる事について解説していきます。
また、連帯保証人がいる場合の詳しい対応については会社の倒産・破産時に連帯保証人に迷惑をかけない方法にて解説しているので、確認してみて下さい。
会社が支払いを滞納すると連帯保証人(家族)には取り立てや督促が届き、一括請求後に支払えなければ差し押さえや自己破産のリスクも
まず、会社の支払いに家族や親戚が連帯保証人として含まれている場合、会社が銀行への返済など支払いを滞納するとすぐに連帯保証人の元へ取り立てや督促の連絡が行き、滞納分の一括請求を受けることになってしまいます。
ここが連帯保証人の恐ろしいところで、支払いを一括で請求されてしますのです。
通常、会社が抱えている債務を個人が一括でまとめて支払うことは難しいため、連帯保証人の人も支払いができないことが大半です。そうなると、連帯保証人になっている家族も、債務不履行として、預金や財産を差し押さえられてしまうリスクが生じます。 また、連帯保証人も支払いができないでいると、最終的には自己破産するしか方法がない場合もあり、一気に連帯保証人個人の生活に大きな影響を与えかねない点が恐ろしいとことです。
弁護士と交渉することで、家族や親戚を連帯保証人から外せる場合も!
このように、連帯保証人になってしまっている以上、会社が借金を抱えるとその責任を一緒に負うことになってしまうのは避けられません。
しかし、近年、経営に直接関わっていない人が会社の債務を負うことを極力避けようとする流れがあり、家族や親戚が連帯保証人になっている場合でも弁護士とともに債権者と交渉することで、連帯保証を解除できたり、債務の額を減額できたりする事があります。
これは、借金の額が膨らんでいない早めの段階から始めることで、交渉の余地が広がります。 だからこそ、もしあなたの会社の資金繰りが既に苦しく、家族や親戚が連帯保証人として債務を負うリスクがあるのであれば、いますぐに弁護士に相談しどうにか連帯保証の解除に向けて動き出すことを強くお勧めします。
会社の倒産・経営者の自己破産後も転職・再就職は可能?家族の生活費のため、いつから新たな仕事に取り組めるのか
経営者は会社の倒産・破産手続きの完了を待たずに転職や再就職できる
あなたが会社を倒産させる場合、新たな仕事への再就職まで会社の倒産手続きの終了を待つ必要はありません。 会社を倒産させてしまうと会社からの収入がゼロになってしまうわけですから、家族の生活費を稼ぐためにも倒産手続きに移る前から転職・再就職活動を始めておくのが良いでしょう。
実際に会社の破産手続きを開始すると、手続きに必要な書類の準備や、債権者集会などへの出席が必要になりますが、これも転職活動や再就職した後の業務に支障が出るほど、忙しいものではありません。
会社倒産後の生活をすぐに立て直すためにも、会社を倒産させると決めた時点で新しい就職先を探すと良いでしょう。
経営者が自己破産した場合、公務員など特定の職業への就職には制限がある
会社の倒産後経営者自身の転職や再就職に問題は無いものの、経営者自身も自己破産した場合、弁護士や公務員、金融関連業など特定の職業には付くことができなくなります。 もしあなたが会社の倒産と共に自己破産する必要がある場合は経営者が自己破産した場合に受ける影響について事前に確認しておきましょう。
自己破産前に家族に取り立てや督促が来た場合の対処法。差し押さえを避ける適切な対応とは
会社が返済を滞納すると、会社だけでは無く経営者の自宅にも取り立てや督促が届く事になります。経営者が連帯保証人の場合、督促が届いた以上、借金の返済をせずに放っておくと、自宅や車など家族で使用している財産を差し押さえれてしまう恐れがあります。
もしあなたが既に債務を滞納し取り立てにあっている場合、取り立てを止め家族の財産を差し押さえられないためにもまずは弁護士を雇い対応を相談することを強くお勧めします。 弁護士を雇うことで、取り立ての対応を弁護士に一任できるため、家族の財産を差し押さえから守りながら倒産手続きを行う事ができます。
倒産や自己破産後も家族・子供の生活を守るためにもまずは弁護士に相談!
いかがでしたでしょうか。
会社を倒産させる際、経営者が家族を守るためにやるべき事について説明してきました。
もしあなたの会社が倒産を考えているのであれば、家族・子供を守るための3つの重要なポイントを確認し、今すぐ動き出して下さい。 法的に家族の財産を守る事や、家族への正しい影響を理解するためにも、まずは弁護士に相談してみる事をお勧めします。 みなさんと、みなさんの家族・子供に大きな影響がなく再び立ち上がれることを心から祈っています!
※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。
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