自己破産とは?知っておきたいメリット・デメリットを弁護士が解説!

更新日: October 30, 2020 3:00 AM

倒産後の不安・影響

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Q 経営者からの質問

 現在、借金の返済に困っています。取り立てからのストレスもあり、自己破産をしてでもどうにか借金をリセットできないかと思っています。しかし、実際に自己破産と聞くとその後の生活への影響や、家族への影響が気になってしまいます。
 実際に自己破産をするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。教えて下さい。

A 弁護士からの回答

 借金で既に生活が苦しくなってしまっているのであれば、すぐに弁護士に相談して自己破産をすべきです。自己破産と聞くとマイナスな印象を持たれがちですが、本来は借金を清算し1から新しい生活を送れるようにするための救済的な制度です。
 当然、生活への影響が無いわけではありませんが、借金に追われ続けるよりも影響は少ないと言えます。この記事では、実際に自己破産した場合のメリットとデメリットについて詳しくまとめているので、ぜひ読んでみて下さい。

自己破産とは?

自己破産とは?

自己破産と聞くと、借金が膨らみ返済の術が無くなってしまった状態で行われるという少しネガティブなイメージがある方もいるかもしれません。しかし、実際には借金を清算し、その後の生活を立て直すという救済の目的が強い制度です。

この記事では、自己破産のメリット・デメリットをはじめ自己破産をすることでどのような影響が生じることになるのか、詳しく解説していきます。

自己破産とは?

自己破産とは、端的に言うと自身が持っている財産のほとんどを借金の返済に充てる代わりに、返済しきれない借金を法的にリセットする手続きです。そのため、自己破産をすることで、生活に必要最低限な財産以外のものは失ってしまいますが、その時点で抱えている借金をリセットし、借金の無い状態で新しい生活を再スタートすることができるのです。

会社が倒産・破産すると経営者や社長の自己破産は必須?

経営リスクバスターズでは、倒産・破産危機にある会社の経営者の方に向けた記事を多く掲載していますが、会社が倒産・破産する場合に経営者や社長が必ず自己破産しなければいけないかというと、そんなことはありません。

会社の倒産・破産に合わせて経営者も自己破産をするのは、会社の借金(債務)に対して経営者が連帯保証人になっているのがほとんどのケースです。このような場合、会社の借金を個人で返済することができないため、同時に経営者個人も自己破産をして個人として背負ってしまった債務を免責(借金をリセット)することになります。

逆に言えば、会社と経営者個人は法律上別の存在として扱われるため、連帯保証人などで会社の借金を経営者個人も背負うことがないのであれば、会社が倒産・破産したとしても経営者個人が自己破産をする必要はありません。

自己破産の3つのメリット!自己破産はデメリットだけでは無い

自己破産の3つのメリット!自己破産はデメリットだけでは無い

自己破産と聞くとネガティブな印象を受けてしまいますが、実際に自己破産をするとなるとどのようなメリットがあるのか、ここでは解説していきます。

自己破産のメリット①:債務の免責によって借金をリセットできる

まず、自己破産の最大のメリットとして挙げられるのが、その時点で背負っている借金をリセットすることができるということです。

自己破産手続き自体に、借金の返済に苦しむ人の借金を清算し、新しい生活への再スタートを支援するという目的もあるため、その時点で持っている財産を失うことにはなってしまいますが、借金の無い生活を再びスタートできるのは最大のメリットと言えます。

自己破産のメリット②:弁護士に依頼し自己破産手続きを開始すると、取り立てや督促が止まる

次に、自己破産手続きを開始するとそれまで続いていた借金の取り立てや督促が止まることになります。

まず、自己破産手続きを開始するには弁護士を雇う必要があります。弁護士に依頼すると弁護士の受任通知が各債権者に送られるため、それによってその後の取り立てや督促は弁護士が全て代理として対応してくれることになります。

そのため、自己破産手続きをはじめると、借金の取り立てや督促がそれ以上来なくなるのです。

自己破産のメリット③:自己破産することで差し押さえを回避できる

また、自己破産をすることで差し押さえのリスクを回避することができるのも、メリットの一つです。自己破産手続きが完了すると、その時点で抱えている借金はリセットされるため、その後滞納していた借金が理由で差し押さえされる心配は無くなります。

実は、これは知っておいた方が良いポイントの一つでもあります。

自己破産をする前に弁護士に相談もせずに取り立てや督促を無視したり、滞納を続けていると、気づいたらご自身の財産を差し押さえられてしまうという事態にもなりかねません。実際に自己破産手続きにも一定の費用が必要ですが、差し押さえにあってしまいその費用が無くなってしまうと自己破産手続き自体ができなくなり、借金に追われ続けることになります。

そのため、借金の対応や自己破産をする必要があるのかどうかという点も含めて、早い段階から弁護士に相談することがとても重要です。

自己破産のデメリットとは?

自己破産のデメリットとは?

ここからは、自己破産手続きをすることでどのようなメリットが生じるのか解説していきます。

自己破産のデメリット①:99万円以上の現金と、一定以上の財産は没収されてしまう

まず、自己破産のデメリットとして、借金をリセットする代わりに自身の財産を失うことになる点が挙げられます。

自己破産の手続きでは、借金をリセット(債務を免責)する代わりに生活に必要な財産以外を全て借金の返済の原資に充てられることになります。

この「生活に最低限必要な財産」として、99万円の現金と価値が20万円以下の財産が該当します。そのため、これ以外の財産は手元に残しておくことができません。

自己破産のデメリット②:保証人や連帯保証人に迷惑をかけてしまう

もし、あなたの借金に保証人や連帯保証人がいる場合、その借金(債務)の返済に対して連帯保証人にも請求が行くことになります。これはあなた個人が自己破産をしても関係なく、連帯保証人は引き継いでしまった債務を一括で返済することが求められてしまいます。そのため、連帯保証人も引き継いでしまった債務を一括で返済できないようであれば、同時に自己破産するケースも珍しくはありません。

仮に、会社の倒産時に会社の債務(借金)を家族や親族が連帯保証人として背負っている場合は、弁護士とともに銀行などの債権者と交渉し、連帯保証契約を解除できる可能性があることも事実です。

詳しくは、以下の記事で解説しているので一度確認してみて下さい。 会社の倒産・破産で連帯保証人に迷惑をかけない方法

自己破産のデメリット③:信用情報に傷が付き、ブラックリスト入り・・・お金の借入や、クレジットカードの利用、住宅ローンを組むことができなくなる

次に、自己破産をすることで、あなたの信用情報が傷ずき、クレジットカードの利用や、住宅ローンを組むことができなくなってしまいます。一般で言う、ブラックリストに入るという状態です。

一般的には、自己破産から5年間はクレジットカードの利用ができず、また10年間程度は金融機関から住宅ローンを受けることができなくなってしまいます。

しかし、信用情報が一度傷つくとその後ずっと影響が出るというわけではありません。ある程度の時間が経てば改めてクレジットカードの利用や住宅ローンを組んだりもできるようになります。

自己破産のデメリット④:自己破産すると官報に掲載されてしまう

自己破産をすると国が発行している「官報」に掲載されることになります。 この官報は誰でも見ることができるので、実質的にはあなたが自己破産をしたという情報が一般の人でもわかる状態になってしまいます。

しかし、通常一般の人が官報を確認することはまずないため、官報に載ってしまうという理由で、あなたが自己破産したという情報が外部に知れ渡ってしまうわけではないので安心して下さい。

自己破産のデメリット⑤:自己破産後に職業制限や資格制限で就けない職業が出てくる

自己破産をすることのデメリットして、特定の職業に対して一時的に仕事ができなくなってしまうというものがあります。

主に影響を受けてしまうのは、公務員や弁護士・公認会計士などの士業、貸金業者や保険募集人などの金融関連業、また警備員などの一定の職業で職業制限を受けることになります。

しかし、自己破産をしたからといって、今後この職業に就けないということではありません。 自己破産手続きを行なっている最中は、職業制限を受けてこれらの職業に就くことはできませんが、自己破産手続きが完了し、「免責(借金がリセット)」されると、「復権」と言い職業制限が解除され再びこれらの職種に就くことが可能です。

厳密には、職種や資格によって復権の条件が異なる場合もあるので、詳しくは一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

自己破産のデメリット⑥:自己破産をすることで、家族や子供の生活に影響を与える恐れがある

自己破産をすると、ご自身以外にも家族や子供の生活に影響を与えてしまうことがあるのも事実です。 実際に、家族で使用している自宅や車が自己破産するあなたの名義であれば、引越しや車がなくなり、家族の生活にも一定の影響を与えることになってしまいます。

実際に自己破産してしまう場合に、どのように家族や子供への影響を減らすことができるのか、詳しい方法については別の記事で解説しているので一度確認してみて下さい。 自己破産しても家族と子供を守る適切な方法とは?

実は誤解されがち!誤った自己破産のデメリットの認識

実は誤解されがち!誤った自己破産のデメリットの認識

ここまで、自己破産をした場合のメリット・デメリットについて解説してきました。

しかし、「自己破産」と聞くと、そのネガティブな印象からデメリットとして誤解されている内容があることも事実です。この章では、自己破産をすることで影響が出ると誤解されているデメリットについてまとめているので、自己破産をした場合の影響を正しく理解するためにも一度確認してみて下さい。

誤解されている自己破産のデメリット①:選挙権が剥奪される

よく誤解されている自己破産のデメリットとして選挙権の剥奪がありますが、自己破産をしたからといって選挙権が剥奪されることはありません。

誤解されている自己破産のデメリット②:海外旅行に行けなくなる

また、自己破産をしたからといって、パスポートが使用できなくなったり、海外旅行に行けなくなったりすることもありません。当然、自己破産手続きが完了し、債務を清算した後は自由に海外に行くことが可能です。

しかし、自己破産手続きを行なっている間に海外に行く場合は、裁判所の許可が必要になるので併せて覚えておきましょう。

誤解されている自己破産のデメリット③:住民票や戸籍に破産情報が掲載される

自己破産をしても、そのの記録が住民票や戸籍に記載されることはありません。

自己破産のデメリット④:自己破産すると官報に掲載されてしまうの通り、自己破産の記録は国の官報に記載されることになりますが、ここからも一般の人にその情報が広まってしまうリスクは非常に低いので安心して下さい。

誤解されている自己破産のデメリット④:結婚相手と離婚する必要がある

自己破産をしてしまったからといって結婚相手と離婚する必要もありません。 しかし、法的には離婚する必要は全く無いとはいえ、実際に自己破産をしてから離婚するケースがあることも事実です。

例えば、自己破産時にご家族が連帯保証人になっていたりすると、最悪の場合は保証人も同時に自己破産が必要になってしまったり、自己破産をしたことで先数年間はローンが組めなくなってしまうために家族生活が不自由になってしまい離婚に発展してしまうというケースが存在します。

ここでは、法的には自己破産をしても離婚する必要が無いことを覚えておきましょう。

誤解されている自己破産のデメリット⑤:再就職や転職に不利になる

まず、自己破産をしたからと言って、現在の仕事を退職しなければいけない訳でもありません。また、仮に転職や再就職するといっても、自己破産した旨を伝えなければいけないという義務はありません。

そのため、自己破産してしまった場合でも、すぐに退職する必要や、また仮に転職する場合でも自己破産したことによって、状況が不利になることはありません。

誤解されている自己破産のデメリット⑥:賃貸住宅を借りることができなくなる

次に、自己破産後に賃貸住宅の契約ができなくなってしまうと思っている人もいますが、これも誤解です。基本的には自己破産をしたからといって、賃貸住宅に住めなくなってしまう訳ではありません。

しかし、賃貸契約をする際に、保証会社の審査が通らずに結果として契約が結べなくなってしまうということがあるもの事実です。自己破産をすると事故情報としてブラックリストに登録されてしまうため、保証会社の審査が通らなくなることがあるのです。

法的に自己破産後に賃貸住宅に住めなくなってしまうというのは誤解ですが、可能性として契約が結びづらくなってしまうことがあるのも事実です。

誤解されている自己破産のデメリット⑦:自己破産手続きの中で、生活必需品が全て没収される

最後に、自己破産をすると借金の清算のために、身の回りにある生活必需品までもが没収されてしまうと思っている人もいますが、これも誤解です。

当然自己破産することになれば、抱えている借金を清算するためにその時点で持っている財産は没収され清算の原資として使用されます。しかし、持っている財産といっても家の中にあるものを身ぐるみ持って行かれてしまうという訳でもありません。

車や不動産などは高価な財産であり、且つ必要最低限の生活には必要がない財産として没収の対象となりますが、衣服や家具や家電は必要最低限どの日常生活を送る上で必要な財産として認められるため、没収の対象にはなりません。

自己破産と聞くとそのネガティブなイメージから全ての財産が身ぐるみ持って行かれてしまうと感じる方もいるかもしれませんが、最低限度の生活を維持するための財産は手元に残すことができると覚えておきましょう。

このように、借金の返済ができない状態で自己破産をすべきか悩んでいたとしても、法律に詳しく無い一般の方が正しい結論を出すことは難しいでしょう。 まずは、一度ご自身の状況で取るべき対応や、自己破産をした場合にご自身の生活がどのようなものになってしまうのか、破産手続きを得意とする弁護士に相談してみましょう。

自己破産のデメリット|家族への影響とは?

自己破産のデメリット|家族への影響とは?

ここまで、自己破産をした場合のメリット・デメリット、また誤解されているデメリットについて解説してきました。

しかし、自己破産といっても自己破産本人だけに影響がある場合と、家族など周囲の人にも影響が出てしまう場合があります。

ここでは、自己破産をした場合に家族にはどのような影響があるのかを解説していきます。

自己破産で持ち家(自宅)を失い、家族にも影響が出る

まず、自己破産をした時に自宅が賃貸ではなく自分名義の持ち家だった場合には、破産時の借金清算のために没収されてしまい、住み続けることができなくなってしまいます。

当然、このようなケースで家族が一緒に自宅で生活している場合は、家族も合わせて引っ越さなければならず、家族の生活にも間接的に影響を与えてしまいます。

仮に、自己破産をする際に自分名義の自宅をどうしても残したい場合は、以下の記事にて方法をまとめて解説しているので一度読んでみて下さい。 自己破産後も自宅を残す方法

自己破産で車を失い家族の生活に影響が出る

自宅と同様に、基本的には車も没収されてしまう財産の対象に含まれています。そのため、仮に家族で車を利用しているケースでも、車の名義が自己破産する本人の名義である場合は、手放さなければなりません。

自己破産をしてもどうしても車を残したい場合の取るべき対応については別の記事で解説しています。 自己破産すると車はどうなる?車を残す方法

借金返済に困ったらまずは弁護士に相談!自己破産のメリット・デメリットを正しく理解!

いかがでしたでしょうか。

ここまで、自己破産した場合のメリット・デメリットについてまとめて解説してきました。 自己破産と聞くと一見ネガティブに捉えられがちですが、自己破産はこれまで抱えてしまった借金をリセット(債務を清算)し、新しいスタートを切るための制度でもあります。 普段関わることのない制度なだけに、メリットやデメリットについて正しく把握することや、自分の状況から自己破産すべきかを理解することは難しいのも事実です。

実際にご自身が抱えている借金の額や、生活環境などの状況を踏まえた上でどのような対応を取るべきなのかまずは自己破産に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします。 特に、早い段階で相談することで自己破産事態を避けることができたり、自己破産をしても自宅や車を残して家族への影響を最小限に抑えるなど、できる対策が異なってくるのも事実です。

この記事でみなさんの課題が解決され、借金の悩みを解決した状態で新たな生活を送り出せるようになることを祈っています!

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

経営リスクバスターズでは、会社の倒産・破産を専門とする弁護士と協力し、経営者を守るプロの知識を発信しています。

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